大判例

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東京地方裁判所 昭和25年(行)75号 判決

原告 清水貞四郎

被告 内閣総理大臣 外三名

一、主  文

原告の訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、事  実

原告は、被告等は原告の被告等に対する昭和二十四年四月二十八日附上申書記載事項を施行せよとの判決を求める旨申立てその請求の原因として、原告は日本国民の精神秩序の確立並犯罪予防の見地から日本国民に常時認識証を携帯させることを考案し、その施行方法に関する具体案を附して、被告等に対して右考案を採用施行され度い旨の上申書を差出し右上申書は昭和二十四年四月二十八日被告等に到達したにかかわらず、何等の回答をしない。原告はその後数回に亘つて右上申に対して速かに回答すべき旨の催告をしたが、被告等はいづれも回答をしないので原告は右上申書記載事項の施行を求めるため本訴請求に及んだと述べた。

三、理  由

裁判所法第三条によれば裁判所は日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訴を裁判する権限のあることは明であるが本件は原告がその考案した施策の採用方を国会の代表者、内閣総理大臣その他政府機関に対し、一私人の資格で希望又は勧告したのに対してその希望又は勧告の上申を受けた国家機関が何等の応答をしなかつたと云うのであつて、この場合、原告と被告等との間には、その存否を確定すべき何等の具体的権利又は法律関係に関する争いは存しないので、法律上の争訟ではないし、その他かような事柄を裁判し得る根拠はない。従つて本訴は裁判所の権限に属しない事項とする不適法の訴であり、その欠缺が補正できないものであることも明白であるから民事訴訟法第二百二条によりその訴を却下すべきものである。よつて訴訟費用の負担につき同法第八十九条を適用して主文の通り判決する。

(裁判官 毛利野富次郎 恒次重義 井口牧郎)

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